道の駅 富士川
2021/08/26
東京方面から南山梨エリアへ車で行く方法はいくつかありますが、真っ先に「道の駅富士川」さんに寄りたい場合のお薦めルートをお教えいたします。
まずは、中央自動車道で甲府南ICへ。「南アルプスIC」と書かれた緑の看板に従い、新山梨環状道路経由で「南アルプスIC」から中部横断自動車道へ。一つ目のICである「増穂IC」で降ります。無料区間ではないので、お金は少しだけかかりますが、その代わり、一般道からは見えない絶景が…。
まさに、WELCOME to 南山梨!と言わんばかりの絶景を車窓から見ることができるので、是非お試しください。
「道の駅富士川」さんの特徴は、何と言っても地元民に愛されている道の駅であること。
地元住民、地元の農家に愛されているということは、イコール、「ここにはウマいモノがちょうどいい価格でたくさんあるぞ!」というしるし。
県外からの、いわゆるVISITOR(ビジター)にとっても、「最高の場所」であるというしるしなのです。
ズバリ地元の富士川町は言うに及ばず、近隣の町やお隣の南アルプス市、延いては山梨県の「新鮮でウマい農産物」が大集合しています。
例えば、桃の場合、10種類は品種があります。都会のスーパーでは、せいぜい「白桃」か「黄桃」くらいの選択肢しかありませんが、「道の駅富士川」さんでは、迷いに迷うはずです。
ブドウに至っては、青系(緑系)、黒系、赤系。合わせて100種類以上はありそうです。これは豊洲市場が出している葡萄の家系図ですが、数えきれない!
山梨と言えばブドウ、ブドウと言えば山梨!
夏から秋にかけて、どんどん、ブドウの数が増えていきます。
今日は「道の駅富士川」さんでは、何品種のブドウに出会えるでしょうか?
リピーターになり、お気に入りの品種やお気に入りの生産者さんを見つけてください。
お気に入りの生産者さんを訪ねてみるのも面白いかも。
「道の駅富士川」さんの密かな楽しみは、「はねだし」を見つけること。
「はねだし」ってご存じですか?
「はねだし」とは、誰かが決めた商品規格から「ハネ」られて「出された」物のことで、言わばB級品。もちろん、傷んでいるもののことではありません。形がちょっと規格から外れていたり、ちょっと傷があったり、小さすぎたり、大きすぎたり…。
そうなんです。実は、大きすぎるのも「はねだし」に含まれるんです。
8月から10月のシャインマスカットの時期に南山梨エリアに訪れたのならば、「道の駅富士川」さんで、大きすぎて「はねだし」になったシャインマスカットを探してみてください。
もちろん、農家さんは「はねだし」を作ろうと思って作っている訳ではないので、ない時もあります。見つけたらラッキー!という気持ちで、ゲットしてくださいね。
「道の駅富士川」さんには、もう一つの顔があります。
それは、「サイクリストの聖地」。
毎年11月に2日間で行われる「南アルプスロングライド」の出発地点とゴール地点がこの場所であることも「サイクリストの聖地」たる由縁でありますが、お手軽に借りることができるレンタサイクルの充実ぶりがすごいんです。
高級なバイクが、なんと3時間500円という破格で借りられます。
しかも、ロードバイクだけでなく、電動クロスバイクもあるので、脚力に自信のない方でもOK。
「道の駅富士川」で車から自転車に乗り換えて、町を走ってみてください。
ドライブもめちゃめちゃ楽しいのですが、心地良い風を頬に受け、歩く人の顔も見えるくらいのスピードで自転車のペダルを漕いで町を散策すれば、きっと貴方も富士川町のファンになるはずです。
※中部横断自動車道をご利用の場合、静岡側からは一般道に降りることなく「道の駅富士川」さんに行くことができますが、双葉ジャンクション方面からは、増穂インターチェンジで降りなければ行けないので、ご注意ください。
寿司・和食 おかめ
2021/07/31
東方からなら身延道、西方からなら富士川街道。その大椚の交差点にある「マグロのおかめ鮨」という看板を見たことがある人は多いのではないでしょうか?
その「おかめ鮨」さんが、なんと、令和3年6月に寿司専門店に、お寿司だけでなく、様々な旬の山梨県産の食材が食べられる和食店「寿司・和食 おかめ」に変わったのです。
常時用意されている山梨県産の旬の食材は、30種類以上!
焼く・煮る・揚げる・和える・握る…など、お客さんの好みはもちろん、季節、気温、食材の状態に合わせて調理。
料理に合わせるお酒も毎日変わるというこだわり!
「こんな店は山梨県でウチだけだ!」
と、佐久間社長は豪語しています。というのも、山梨シェフズクラブでの活動や、地域食材を使ったお弁当のプロジェクトで生産者を訪問し、試作料理を作るなど、10年の月日をかけて山梨県産の食材を研究してきたからこそ。
海のない山梨県の地魚(!)である富士の介、甲州牛、富士山麓牛、富士桜ポーク、信玄鶏のメイン料理や、山梨県の美味しい旬の物をふんだんに使った「おつまみの盛り合わせ」はマスト。
南山梨に遊びに来た人はもちろん、地元の人も、生まれ変わった「寿司・和食 おかめ」に行ってみてください!
山梨愛がますます高まるはずです。
杉山江見堂
2021/06/25
子供の頃、一番最初に買ってもらった「色鉛筆」は何色入りでしたか?
私は12色。高学年になるにつれ、24色入りを買って欲しいと親にせがみ、36色入りを持っている友達を心底うらやみ…。はてさて、地球上にはいったい何色あるのだろうと思ったことはありませんか?アメリカの物理学者によれば、200万~1000万色が存在するとか。
「全ての色は青・赤・黄の三原色で成り立っている」とか、「太陽光線はプリズムで虹の七色に分けられる」とか習った記憶がありますが、まさかそんなに存在するとは!しかも、中国では紀元前3000年頃、ヨーロッパやインドでは紀元前2500年頃、日本では縄文時代(紀元前1400年頃)から植物などを使った染色が行われていたそうで、人間って昔からオシャレだったんですね。中でも、日本は世界の中でも色の名前が多く、しかもその名前は文学的。独特な色使いも、世界から注目されています。
富士川町の電信柱がない商店街に、コンクリート打ちっぱなしのひときわモダンな建物があります。
ここが杉山江見堂さん。お店の中に一歩入ると、コンクリート色とのギャップが激しい「粋」な色使いの「うちわ」や扇子の世界が。これらはご主人の杉山茂さんの手作業による作品たちです。
「杉山江見堂」さんは、江戸時代の終わり頃から続くうちわ・扇子専門店。昔は「うちわ」は七輪やかまどに火を起こす際に使う庶民の生活の必需品で、お店の名前を入れた「うちわ」は、広告宣伝に使われていたそうです。しかし、ガスができて火を起こす必要がなくなり、扇風機やエアコンができて「うちわ」であおぐ必要がなくなり…。
そんな中、杉山さんは日本の「うちわ」の文化を何とかして残したいと「うちわ」作りを極めるようになったとか。日本全国を行脚し理想の紙を探し求め、くるみ、栗のイガ、ざくろ、桜…などの天然の素材を使った「草木染め」により紙を染めて「うちわ」や扇子を作っています。
手作業にこだわるモノ作りをする人を「職人」と一括りにしていましたが、或る方に職人とアーティストの違いを聞いたことがあります。職人とは同じ物を作り続ける人。アーティストは自らのアイデアを物に注ぎ込む人。杉山さんは、アーティストの部類に入る方。
杉山江見堂さんは「注文の多いうちわ店」。杉山さんの理想の色を出すため、紙屋さんへの注文が多すぎて断られることもあったとか。美しく丈夫にするために敢えて冬の間雪にさらして作られた紙、その地域の風や太陽の光で乾燥させた紙を使う。それは同じように染めても紙によって出てくる色が違うからだそうです。
良い「うちわ」とは、見た目が綺麗で軽くて扇ぎやすいもの。
杉山江見堂さんの店頭で、こだわり抜かれた「うちわ」や扇子を手にし、あおいでみてください。頬に感じる柔らかな風は、貴方の心まで穏やかにしてくれるはずです。
日本の田舎に自然に生えている木や実などで作りだされる色は、まさに日本の原風景の色。夏をクールに涼しく過ごすための杉山さんの「うちわ」は、日本の伝統文化を継承すべく活躍している人々や、最先端のお店から「熱い 」視線を注がれています!
山十製紙
2021/06/25
中部横断自動車道の六郷ICの近く、富士川の西岸にある西嶋地区は古くから和紙の産地として知られています。
ここで作られているのは、主に習字用の和紙。
「山十製紙」さんは、西嶋和紙を代表する手漉き和紙の工房ですが、社長の笠井伸二さんの独創的なひらめきや少年のような探求心から、ありとあらゆる物から紙が作られています。ヒマワリ、ブドウ、水晶、ユズなどの山梨県の特産品も、笠井さんの手にかかれば、あっと驚くような和紙が出来上がってしまうという和紙の魔術師!
山十製紙では、工場見学の他、紙漉き体験、漉いた紙を大きな鉄板の上で乾かす作業の体験、自分だけのオリジナルの御朱印帳を作る体験、和紙で自分の名刺を作る体験、グループでの超大判和紙を漉く体験…などなど、様々な体験メニューが用意されています。
見学している時には、「自分にも簡単にできるだろう!」なんて思っている人も多いのですが、見るのとやるのでは大違い!!
重ねて置かれた漉いた紙床から1枚だけはがし取り、熱められた鉄板の上に置いて乾かす作業を見ている間は、本当に簡単そうに見えるのです。しかし…!実際に自分がやってみると、簡単に見えるのは職人さんたちの紙技(!)のマジックだと気付かされます。
最近の笠井さんの発明品は、「竹炭入りの和紙のマスク」や、和紙で作った「コーヒーフィルター」。和紙の原料は「こうぞ」や「みつまた」であることをご存じの方は多いと思いますが、「こうぞ」と「みつまた」のフィルターで煎れたコーヒーは味が違うということを知っている人は少ないと思います。
山十製紙で、和紙そのものの深~い潜在力と和紙職人の技術を体感してみてください。
つくたべかん
2021/06/23
富士川の西側を走る国道52号線(富士川街道)の「十谷入口」という信号を曲がり、山を登ること約15分。
距離にして7キロ弱の道だけれど、かなりの急勾配なので山登り感が大きい。山道をかき分け、エンジンをふかしながら、目に飛び込んでくる新鮮で極上の緑色を味わうのが楽しいドライブです。
いわゆる「昔の生活感」を感じさせる小さな集落をいくつか通り過ぎ、到着する頃には空腹感とワクワク感が丁度よくなってくるはず。
お店の近くにも駐車場があるけれど、広めの十谷観光駐車場に車を停めて山道を歩いて登りプチハイキングをするのがお薦めです。
「つくたべかん」さんの看板メニューである「みみ」は、山梨名物の「ほうとう」の「ショートパスタ」バージョン。味噌仕立てのスープに根菜を中心とした野菜がゴロゴロ。
帽子の形のように折られた麺は、端っこはピロピロ、生地が重なった部分はアルデンテで、1個で2倍の食感を楽しめる麺なのであります。
イタリアのショートパスタ「オレッキエッテ」や栃木県佐野市の名物である「耳うどん」は、その名の通り「耳」の形を模して作られていますが、富士川町の十谷集落に昔から伝わる「みみ」は「箕(み)」というチリトリのような農機具の形。
「チリ」なんて言ってはいけません。「箕(み)」が集めるのは「幸福」。
さあ、「みみ」を食べて、「幸福」をかき集めようではありませんか!
「つくたべかん」さんの「箕(み)」で集められる幸福は「舌福」煮干しと椎茸で丁寧にとった出汁の味。
手作りのお味噌の味。
心にじんわりとしみる優しい味は、舌だけでなく心にも幸せが染み込んでいくのが実感できるほど。
「みみ」などの単品料理は予約なしで食べられますが、ここは是非とも事前に予約をして「みみ御膳」を食して頂きたい!
依田静子さんを始めとする近隣のおばちゃま、おじちゃまが端正込めて丁寧に作った煮物は必食です。
他の地域では「野沢菜」と呼ばれている「地菜」の煮びたしの箸休めすら、じんわりを休ませない絶品。
「さしみこんにゃく」にかかっている「柚子味噌」も…。
シンプルだけど美味しい、シンプルだからこそ、そこに込められた気持ちが分かる味。
食べ終わる頃には、「次はいつ来ようかな」と考えているはずです。
ここでは、「箕(み)」を作る体験も可能です。
食事をしながら、おばちゃまたちが生地を伸ばしたり、切ったり、折ったりする作業を見るのも楽しみの一つですが、自分でやってみるのもまた格別。
そうそう、テーブルの上に置いてある「練り唐辛子」や、「みみ」の味噌スープを絶品に仕上げている影の立役者である「鰍沢塩」を入り口のお土産コーナーでゲットするのも忘れずに!