下部ホテル
2021/06/27
下部温泉郷の入口にある、創業1929年(昭和4年)の老舗ホテル。
1929年と言われてもその歴史はピンと来ないと思いますが、なんと、ディズニー映画を統括するウォルト・ディズニー・ピクチャーズ社が設立された年なのです。あのミッキーマウスが世の中にデビューしたのがその前の年なので、下部ホテルはほぼほぼミッキーマウスと同じ年だという…そんなことを考えながら、「下部ホテル」さんの2つの源泉の温泉に浸かってみるのはいかがでしょうか?
「下部ホテル」さんでは、庭園から湧出する硫黄泉と下部温泉協同泉の2種類を楽しむことができます。もちろん、露天風呂も充実!
お薦めは、まず室内にある「ぬるめ」の硫黄泉からスタートし、その後、熱めの共同泉の湯舟へ。
身体が温まってきたら露天風呂へGO!
外のお風呂で特にお薦めなのは、「ほたるの湯」にある「陶器風呂」です。大きな湯呑み茶碗のような陶器のお風呂は一人用。ちょっとお行儀悪く、両足と両腕を縁にかけ、ちょうどハンモックに寝るような姿勢でお風呂に浸かる。
こっそりお薦めしたい禁断の極楽入浴法です。
鳥の声にうっとりしながら、長湯を楽しむには絶好です。肩から腕全体と頬に心地良い風を感じることができるので、時間が過ぎるのを忘れて身体も心も温泉効果に浸ることができます。
お風呂場は11時~25時、5時~10時の時間帯で男性用/女性用が替わるので、最低でも2回は入浴し、二つの浴場のお風呂に入ってくださいね!
「下部ホテル」さんのお薦めポイントは「温泉」であることは間違いないのですが、それだけではありません。
昭和の温泉ホテル文化を思い起させる「和太鼓ショー」は、さっきまでレストランで働いていたスタッフの方々によるパフォーマンスなのです。新入社員の研修項目でもあるとか!
1階ロビーに置いてある花火は、市川三郷の「はなびかん」さんで販売されている国産の手持ち花火。コンビニに置いてある花火とは火力と美しさが違います。
庭約六千坪ある広い庭園では、美しい木々や池を静かに愛でる他、ニジマス、ヤマメ、イワナ、サツキマスが放流されている釣り堀でアクティブに楽しむことも可能です。釣ったお魚は夕食のお楽しみ。3匹まで炭火焼で食べられるので、大物を狙って糸を垂れてみてください!
フロントに掲げられている「Welcome,fellow traveller. Here’s Rest for thy weary feet.(良く来たな、友よ。ここで疲れた足を休めたまえ!)」と書かれている書は、「武士道」の著者でもあり、5千円札にその姿が印刷されている新渡戸稲造氏が昭和初期に訪れた時に書いた自筆のものだそうです。
昭和の大スターである石原裕次郎氏も、「下部ホテル」の別館に1ヵ月半滞在したとか。
恐らくその頃からの伝統なのでしょうが、スタッフの方々のホスピタリティーが抜群です。レストランで飲むことのできる山梨県産の希少なワインもスタッフが自らの足で探し当てたもの。バイキング形式で出されているメニューにも、スタッフのお薦めコメントが書かれていたり、朝食の際も焼きたてのパンをワゴンで勧めてくれたり。
ホテルスタッフの接客は、時として丁寧すぎたり、がっちりマニュアル的だったりしますが、ここのスタッフの方々は、温かみのある丁寧さ。一度経験すれば分かるはず。絶対に、また来たくなるホテルなのです。
2021年7月3日、「下部ホテル」さんに新しい名所が誕生しました!その名も「下部温泉ボロネーゼ」。
ボロネーゼとは、皆が大好きな「ミートソース」のイタリア語バージョン。しかもお肉たっぷりのミートソースに、まるで雪をかぶった富士山のようにチーズがこんもりとかかっている垂涎のパスタなのです。パスタを茹でるお湯も、なんと、下部の温泉水!
令和進化を遂げた「昭和の伝道」の温泉ホテルに立ち寄ってみてくださいね。
カフェ&鉄板レストラン 藤川
2021/06/25
「ASMR」が人気になって久しい今日この頃…。あれ?ご存じない?
「ASMR」(読み方はアスマーとかエイスマー)とは「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で、直訳すると「自律感覚絶頂反応」。人間が聴覚や視覚から感じる反応で、脳がゾクゾクするような心地良い感覚のこと。私のASMRはステーキを鉄板で焼く、「ジューッ」というあの音です。焼肉ではなく、3センチくらいの厚みがあるお肉を鉄板で焼く音。圧倒的に!
下部温泉駅の駅前広場の近くにある「カフェ&鉄板レストラン藤川」さんは、ランチでもディナーでも美味しい肉料理を頂くことができるお店。(注:コロナ禍の現在は、カフェタイムはお休み中)
オープンしたのは、今から19年前。元々は、ご家族で米店×酒店を経営、現在のオーナーの望月謙次さんは、大阪で和食の板前さんとして活躍されていたとのこと。短くピッチリと刈り上げた髪型と、包丁を持った時の貫禄は、包丁一本をサラシに巻いて活躍するような「花板」そのもの。事実、「藤川」さんはステーキ店でありながら、コースの前菜として「お刺身」が出るのです。もちろん、お刺身の角が立っています。お魚の目利きも包丁さばきも本格的な料亭のクオリティー。
使用するお肉は山梨県産のもの。トレーサビリティもばっちりです。狂牛病の問題が発覚した時に、どこの馬の骨か分からない肉…いやいや、馬でも骨でもありませんが、きちんとその牛を育てた牧場まで遡れるようにしたそうです。自分の責任として肉を提供しているからには、きちんとやりたい!という哲学がお店の屋台骨です。
脳が痺れるような脂身の旨味と、赤身肉のほどよい歯ごたえと滋味が舌の上で踊る…。ずっと噛んでいたい衝動と戦いながら、のど越しと後味をも楽しむ。「生きててよかったー」と口走しらせる味を感じてください。
そして、ランチメニューも充実しています。私の個人的なお薦めは1日100個しかできないハンバーグ。このハンバーグを食べるためだけに下部に通いたいとすら思わせる絶品です。
古湯坊 源泉舘
2021/06/23
下部温泉はよく「信玄の隠し湯」と呼ばれていますが、本当の起源はもっともっと古いって知ってましたか?
川中島の戦いが始まったのが1553年ですから、ざっと計算しても500年足らず。案外最近ですね。しかし、下部温泉は平安時代初期、仁明天皇の時代には存在していたのです。仁明天皇という名前だけで「あ~、あの時代ね!」と言える歴史博士は1割にも満たないと思いますが、あの小野小町が仕えていた天皇と言ったら、かなり昔だということは分かって頂けるはず!
下部温泉の駅から約1キロ坂道を上がって行った所にある「古湯坊 源泉舘」さんは、下部温泉郷で最も古い温泉で、約1300年前に温泉が湧き出した所を石で囲ってお風呂にしたのが始まりだとのこと。1300年前からずっと湧き出している温泉を守り続けていることにロマンを感じます。
「源泉舘」さんの大きな特徴は二つ。
一つは、温度がぬるいこと。ぬるいので、のぼせることなくずーっと入っていられます。
二つ目の特徴は、別館の半地下にある「かくし湯大岩風呂」が混浴であること!
混浴でも心配ありません。男女共にタオルや湯浴み着を着て入浴する『男女平等スタイル』であるので、見たいモノも見たくないモノも見えません。
58代目館主の依田茂さん曰く、混浴では男オンリー、女オンリーよりも会話が弾むんだとか。常連さんの話を聞くのも旅の一興です。
地面から自噴する30度ほどの温泉にゆっくりと浸かり、身体が熱いお湯を欲したら、隣の「あつ湯」に3分ほど入るのがお薦めの入浴法です。(ちなみに、女性専用時間もあります)
「源泉館」さんは、とにかく「お湯」にこだわる人、「お湯」の違いが分かる人にお薦めの温泉宿。「源泉館」の隣にある鳥居をくぐり、約170段の石段を上っていくと「熊野神社」があります。ここでは、怪我をして松葉杖をついてやって来た人が、温泉療養後に回復し、要らなくなった杖を奉納する神社なのです。怪我をしていない私が登っても相当キツい石段を、怪我をしていた人が登れるようになるほど回復させるすごいお湯を体験してみてください。
甲斐黄金村・湯之奥金山博物館
2021/06/23
日本を「黄金の国ジパング」と称したのは、ご存じマルコ・ポーロ。
歴史を遡って考えてみると、日本国内で大量の金が使われたのは、奈良の東大寺の大仏や、奥州平泉の中尊寺金色堂。この辺りのことを見聞きして「黄金の国」と言ったのかもしれません。
当時の金は、川の底に眠る砂金を採集して使っていたのだとか。
一方、下部温泉郷の山奥にある「湯之奥金山」は、戦国武将、武田信玄の軍を支えていた甲州金を産出する代表的金鉱山で、日本最古の山金採掘場なのです。
ここ、「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」さんでは、戦国時代、山梨(甲斐国)で使われた金貨「甲州金(しかも日本一のコレクション!!)、湯之奥金山から出土した日用品や道具類、そして金を含んでいる金鉱石などが展示されています。
どんな鉱石に金が多く含まれているかを学んでおきましょう!もしかすると、今後の山登りが楽しくなるかもしれません!!
「金山で金を掘っているのは、強制労働をさせられている罪人。金山は恐ろしい所だ!」という先入観を持っている人、ひょっとして多くありませんか?
それは、時代劇の見過ぎです。
「金山は、一攫千金を夢見る荒くれ者がうろついているのではないか?」と考える人、海外ドキュメンタリーの見過ぎです。
甲州版ガリンペイロは、金山衆(かなやましゅう)というプロ集団なのです。その金山衆がどんな生活をしていたのかも、「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」さんに行けば分かります。
何より特筆するべきは、砂金採り体験。体験室には、砂が沈んだ川に見立てたレーンが何本かあり、そこでパンニング皿を使い砂金を採取することができます。
教えてくれるのは、学芸員の小松美鈴さん。小松さんはなんと砂金採りの世界チャンピオンなのです。
教えに素直に従いお皿を揺すれば、絶対に砂金が採れます。初心者の平均は5粒。上級者になると15~20粒!!!通い詰めて砂金採り名人になり、自分の採った砂金で指輪を作ってくださいね!
橋本屋
2021/06/23
仕事を忘れ、職場の同僚や上司、周囲の人に見せているヨソイキの表情を忘れ、ちょっと自分を大きく見せるために、3度くらい上げていた肩肘を元の位置に戻し、誰にも気兼ねすることなく、素の自分に戻って、リセットするための一人旅。
ただただ温泉に浸かり、畳の部屋でまったりと過ごす。窓から見える昔ながらの温泉地の風景に飽きたら、また温泉。
「橋本屋」さんは、そんな女性の一人旅にピッタリの宿、しかも連泊したくなる宿なのです。
橋本屋さんの魅力を物語るのは、リピート率の高さ。一人でふらりと訪れたお客さんが、またやってくる旅館なのです。
かと思えば、山梨県内の常連さんも多く、亭主の石部寿昌さんは、50キロ離れた山梨県の反対側の地域にまで送り迎えをすることもあるそうで、常連率が高くなることにも納得してしまいます。
温泉旅館では珍しく、おにぎりやうどんの昼食のサービスも。
朝食、夕食も女将の夏穂さんが自ら作った料理を部屋まで持って来てくれるので、文字通り、他人の目を気にしなくて済みます。
ご飯を食べるために眉毛を描かなくても良い温泉旅館、それが橋本屋さんです。
橋本屋さんは、1865年に創業した超老舗の旅館。
1865年といえば皇女和宮が嫁いだ徳川家茂の時代で、まさに幕末を舞台にした大河ドラマの頃…。
こう紹介すると、年配の女将がうやうやしくもてなしてくれる旅館を想像されると思いますが、さにあらず。
10代目を継承しているファンキーな若い夫婦が迎えてくれます。和風旅館で美味しいコーヒーを飲めるのも嬉しいサービスの一つ。
このギャップが橋本屋さんの魅力です。